【技術と歴史】その4 汽笛編

【技術と歴史】その4 汽笛編

こんにちは。ノボル電機、猪奥です。
当社の技術と歴史として、過去3回、「メガホン編」、「車載用アンプ編」、「設置型アンプ編」とアップしていますので、こちらも併せてご高覧いただければ幸いです。

今回は、一般的な感覚では拡声音響装置の枠内でしょうが、実は業界的には拡声の外にある「音・ブザー」についてお送りします。具体例では、漁船や小型船舶に搭載いただいている「汽笛」や緊急車両で使われている「車載用サイレン」についてのお話がメインです。

 

サイレン市場での苦戦

緊急車両等で使用されるサイレンは、現在では、電子音を鳴らし、回転灯と一体になっていますが、昔はモーターサイレンが使用されていました。
モーターサイレンが使用されていた時代は、サイレンと拡声放送装置は全く別物として、それぞれ搭載されていました。この頃の消防車には20W程度のアンプとスピーカーが拡声放送装置としてつけられていたと聞いています。サイレンの音を出すのにモーターではなく、電子音が使われるようになり、商流がモーターサイレンからサイレンスピーカーに変わったため、私たち拡声音響メーカーが緊急車両用サイレンに進出するチャンスが巡ってきました。
最初のサイレンスピーカーとして、1965年頃にS-25という丸形スピーカーを発売、そのすぐ後にS-30という角形スピーカーを発売したところ、消防車用から普及が始まり他の緊急車両へ波及していきました。消防車など背の高い車両は、少しでも低くなるように、丸型より高さが低い角形が好まれたようです。
1970年にはパトカー用の丸形スピーカーSS-30とSS-50を発売しています。SS-50は1973年にOEMで採用され、パトカーに純正搭載されるようになりました。警察庁が採用して各県警に配布する本庁調達分は、OEM製品で当社ブランドではありませんでしたが、それ以外の県警独自調達と輸出車用には、当社ブランド品も採用され自社販売もおこなっていました。
1970年代までは、サイレンと回転灯は別体だったのですが、1980年頃から回転灯が円筒型から現在のような長方形に変わり大型化になるとサイレンスピーカーが回転灯内に収納されるようになりました。サイレンスピーカーは小型化を余儀なくされ、回転灯に組み込まれるように変わりました。また商流も段々と、スピーカーは回転灯に付属するものというように変わっていき、当社が魅力的な提案ができなかったこともあり、回転灯メーカーがアンプ・スピーカーを自社開発し、当社はサイレン用スピーカーの市場を失うことになりました。

時代の変化に合わせて参入した第4種汽笛

1972年7月に海上衝突予防条約が発効され、船舶に汽笛を搭載することが義務付けられましたが、既存船舶についてはその義務を9年間猶予されました。1981年に猶予期間が切れ、設置が義務化される汽笛の需要を見越して、お客様から電子汽笛の開発に関する共同開発の打診をいただきました。共同開発といっても、音の発信源であるドライバーユニットの供給を求められたので、OEMの商談です。当社は各種の技術協力をしたのですが、残念ながらOEM商品としては製品化には至りませんでした。
それなら自分で汽笛を作ろうと、第四種汽笛SG-120を急遽設計し発売しました。しかし上記の事情でスタートが遅れたので、猶予期間切れ前の特需の時期を逸し、発売は特需後の1981年の秋になりました。
船舶用にスピーカーもアンプも製造しているので、電子汽笛は難しくない、と当初は考えていましたが、実際には取り扱われ方に違いがありました。当社が製造するアンプや拡声スピーカーは、船舶通信工事の一環として扱われるのに対し、ブザーの一種でもある汽笛は、船舶電装品として扱われるため、販売ルートが異なることや、スピーカーの取り付け位置や使われ方にも違いがありました。発売後には販売ルート開拓や塩害対策などに苦労をしました。その後、中小企業の小回りを生かして改良に努め、「第四種汽笛はノボル」といわれるようになりました。
さらに、放送アンプ内蔵のSG-1210、筐体をプラスチック化したSG-121、SG-122と改良を続けて品質の向上に努め、第五種汽笛にも参入し、「電子汽笛はノボル電機」との高い評価を頂けるようになりました。

 

音と声の違い

電子汽笛への進出は【声】から【音】の分野に展開できた成功事例ともなり、今でも主力商品として活躍しています。今回のインテリア雑貨に拡声器の形を踏襲したスマホ用無電源スピーカー『拡音器』をリリースし、BtoC市場に参入したことも、コア技術を他市場に水平展開した汽笛の成功事例が下敷きとしてあります。


【当社展示ブースに陳列しているサイレン用アンプ(写真右下)】

スマホ用無電源スピーカー「拡音器」のベースとなった拡声音響機器メーカーとして当社の技術・歴史の話題として、汽笛についてお届けしました。
次回は第5回目(技術と歴史の最終回)としてホーンスピーカーの技術や歴史に関する話をさせて頂ければと考えております。