【誕生秘話】その2 ブランド開発編

【誕生秘話】その2 ブランド開発編

こんにちは。ノボル電機、猪奥です。

先週に引き続き、社外の方から本プロジェクトをご質問いただく機会を頂戴したのを好機に、考えや取組を振り返る機会として、本ブログで拡音器誕生秘話として、お伝えしていきます。

今回は2回目として、ノボル電機製作所というBtoC新ブランドにまつわる誕生秘話としてお送りします。


Q、BtoB企業であるノボル電機が、BtoCブランドを立ち上げようと思ったきっかけは?
A、人口縮小を受けて、業務用拡声音響装置という既存事業だけで会社の将来を見通せなくなってきました。「何か新しいことをしなければならない」と新規事業の試行錯誤をしている際に、大阪産業局が府と連携して実施する中小企業向けの新商品開発プロジェクトの「大阪商品計画」というハンズオン支援を知り、応募しました。

正直、私たちのような町工場が独力でBtoC参入を成し遂げる自信もありませんでした。そこで、社外の支援策への応募・採択を通じて、立ち上げの支援のみならず、取り組みに対する社内の動機づけにも活用させていただきました。

ブログ(【私たちのこと】DtoCブランドを立ち上げた理由)でもこのあたりの話はさせて頂いておりますのでよろしければ合わせてご高覧ください。

Q、BtoC事業のブランディングはどのようにスタートしたのですか?
A、プロデューサーを交えた初回の打ち合わせは社内のベテランから若手まで、バランスよく参加してもらいブレインストーミングから始めました。

そこで、ブランドの核となるコンセプトワークを行い、「音に関するニーズ」や「世の中に必要とされる商品像」等の意見を出し合いました。出てきたフレーズは『懐かしさ』や『癒し』でした。

当初は、北欧調のオシャレなブランドイメージで進めたかったのですが、紆余曲折ありながら、ある時、ノボル電機らしさに立ち返ることで、「不器用なガジェット」というブランドコンセプトが完成し、『ノボル電機製作所』というBtoC向け新ブランドの立ち上げることができました。


Q、紆余曲折とは具体的には?
A、世の中で流行っていそうなもので、自分たちにないカッコよさに魅かれ「自分が欲しいもの」という切り口で北欧調のブランドを志向していました。とはいえ、ゴリゴリの町工場が北欧と言っても、ムーミンや木工製品ぐらいしか想像できないような状態でした。地に足がついていないというか、妄想上の憧れが先行していたと思います。

ブランディングプロデュースをお願いした株式会社CAMPの新田さんには大変なご苦労をおかけしました。当初の希望は北欧レトロでしたが、新田さんに北欧調と昭和レトロ調の2ラインナップ展開を助言いただき、最終的に昭和レトロ調の「ノボル電機製作所」のブランドコンセプトでもある【不器用なガジェット】が出来上がりました。

参考となる小売店を紹介していただき、見て回れたことも方向転換の良い気づきになりました。世の中、本物が溢れ、販売の最前線でしのぎを削る中、「流行りを追いかけて勝負できるのか?」と立ち止まって考えなおすことができました。北欧デザインに対して、憧れはあれど、自分たちで北欧調の製品デザインができるわけもなく、結局はモノマネになってしまうと気付けたのです。

先代やベテラン技能者とも話をする中で、当社の強み・事業の勝ちパターンを意識したこともあって、荒唐無稽なブランド設計ではなく、75年の歴史を通じて、継続してご愛顧いただける製品を提供し続けてきた社歴・社風という強みを活かせるブランド像に舵を切りました。

「流行りの昭和レトロに乗っかる」というよりも、今まで自分たちが提供してきた商品をリブランディングすることで、お客様に懐かしさと癒しを感じて頂く、というのがねらいです。これなら、最後のデザイン面の工夫は必要ですが、根本は自社の設計力やプロダクトデザインを踏襲していけるので、無理なく取り組めると考えました。

当社自体、社歴こそ長いですが不器用な会社ですので、背伸びすることなく自社の弱みを強みに変えられるようなコンセプト【不器用なガジェット】に沿ったモノづくりをしていくことで、継続して取り組んでいけるブランドイメージを作ることができました。

コンセプトを決めることができたので、後はそれをどう展開していくか、細部まで【不器用なガジェット】を意識しながら、商品設計・PR用の広告宣伝物の作成を行いってきましたので一体感のあるブランディングができたと思っています。

当初から、新田さんが私たちの希望を全否定するのではなく、少しずつ時間をかけて対話を重ね、夢と現実のギャップを埋めるために伴走してもらえたので、最終的にブランドコンセプトに納得して取り組むことができています。


先週に引き続き、スマホ用無電源スピーカー拡音器の誕生秘話として、(当初は北欧調をイメージしていたなど今となっては恥ずかしいですが)ブランド開発にまつわる裏話を、ご質問への質疑形式でお届けしました。次週は誕生秘話の最終回として、商品開発にまつわるお話をさせて頂きます。

株式会社ノボル電機
製作所事業担当 猪奥元基