【NMP-101】Bluetooth内蔵1Wモノラルアンプのデザインについて
こんにちは。ノボル電機、猪奥です。
先日のコラムで、NMP-101について書かせていただきました。
その際、デザインについて言及しましたので、今回は設計初期段階から製品化までの流れをご紹介して行きます。
□コンセプトを受けて
まず、車載用電子オルゴール付アンプYR-54をベースとして、「Bluetooth内蔵1Wモノラルアンプを開発する」という方向性が決まったことを受け、段ボールで外観見本と操作部のイメージを作りました。
【YR-54の写真】
段ボールで外観を作るメリットは、企画者と設計者のイメージを言葉のみではなく、立体として共有することができることです。
初期段階でのボタンの掛け違いは致命傷となるため、3Dデータや3Dプリンターといった最新の機器を使わず、段ボールで「早く・安く」作る、速度重視の町工場の知恵でもあります。
【段ボールモックの写真】
次に板金やYR-54の筐体を使ってモック(試作品)の作成を行いました。こちら、弊社では技術者が作った試作機の0号機としてエンジニアリングサンプル0(通称ES0)と呼んでいます。
この段階で、スイッチ類は流通品を使って配置しています。
【エンジニアリングサンプル0の写真】
そして、電子基板の設計へと移行。
仕様を満たすような性能を出すために、日々試行錯誤を重ね、出来上がったエンジニアリングサンプル1がこちら。見た目も概ね現在のNMP-101に近づいてきました。もちろんこの段階で動作します。
【エンジニアリングサンプル1の写真】
□デザイン重視
最終確認としてデザイナーさんへエンジアリングサンプル1を送って、戻ってきた操作部がこちらのNMP-101の操作部です。よく見ないと分かりにくいですが、各スイッチの位置が少し変わっています。
【NMP-101の写真】
淡々と書きましたが、専門家にデザインしてもらった操作部は確かにかっこよくなったのですが、設計者として内部のキバン設計を終えてからの操作部の変更は、単に「操作部のみを変える」といった容易なものではなく、内部まで全部変えることを意味していました。
【左がES1 右がES2】
電源スイッチを例に説明すると、配置が5ミリ程上がっています。わずか数ミリの違いですが、この数ミリのために内部構造も変わってしまう大規模変更です。
ここが当社の技術者の腕の見せどころ。日夜、苦労を重ね、デザイナーさんの要望に寸分たがわぬ配置に落とし込み、NMP-101をリリースすることができました。
わずか数ミリ、されど数ミリ。この数ミリが意匠性を分けると信じて、大規模な内部変更を実施しました。
見比べてみると、意匠性が大幅に改善されているのが分かります。良くなったと思ってもらえれば非常に嬉しいです。
事前に図面データを共有し、検討していきました実物の質感を元に検討すると、最後までデザイン面で試行錯誤というか紆余曲折もあったBluetooth内蔵1Wモノラルアンプの操作部です。
是非一度実機を手に取っていただき、電源スイッチをパチパチ(on/off)しながら、設計者の苦悩に思いをはせて頂けると幸いです。
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NMP-101のコンセプトについて書いたコラムはこちら
株式会社ノボル電機
製作所事業担当 猪奥元基