【共同開発】酒場のための防災声かけメガホン「キコエール」開発に参画
皆さまこんばんは。株式会社ノボル電機の猪奥です。
本日は、12月4日に発表された共同開発プロジェクトについてご報告します。
株式会社ヤッホーブルーイング、株式会社TBWAHAKUHODO、株式会社quantum、有限会社日本音響研究所とともに、酒場のための防災声かけメガホン「キコエール」 のコンセプトモデル開発に参画しました。
今回の開発元となったのは、ヤッホーブルーイングが立ち上げた≪お酒好きのための防災プロジェクト≫です。
「飲食店でお酒を飲んでいる最中に災害が起きることを想像したことがない」人が6割以上、「飲食店で普段酔っている状態の時に災害が起きたとすると、安全を確保する行動や必要に応じて避難する行動をできると思うか聞いたところ、約半数の人が対応できない」という調査結果を受け、"酒場での災害"というこれまであまり語られてこなかったテーマに正面から向き合った取り組みです。
□騒がしい酒場で声を届けるには“高い声”が最も届く
日本音響研究所が飲食店の音環境を分析したところ、店内に特有の騒音帯域(600Hz・3500Hz・10500Hz)が存在し、通常の声はその帯域に埋もれてしまうことがわかりました。特に災害発生時には叫び声や物音が重なり、声がさらに届きづらくなります。
そこで導き出された解決策が、3500〜5000Hzの帯域が強い“高い声”を意図的に作ること。この帯域は酒場の騒音を避けられるため、相手に届きやすいという研究結果が明らかになりました。
しかし、誰もが高い声を出せるわけではありません。そこで必要になったのが「声を変換する技術」です。
ノボル電機はこの部分、発声した声を≪高い声≫へ変換するアンプ回路の設計・製作 を担当しました。日頃から拡声器・サイレン・マイクなど「音を届ける技術」を扱っている当社ならではの貢献ができたと感じています。
□メガホンなのにランタン? 防災を“店の奥にしまわない“ために
「キコエール」がユニークなのは、災害時だけでなく平時にも使えるデザインに仕上げている点です。店の奥にしまい込みがちな防災グッズでは、いざという時に使ってもらえない。
その課題を解決するため、quantumが中心になって普段はランタン照明として使えるメガホンというコンセプトを形にしました。
見た目にも可愛らしく、温かみのあるインテリアのような存在。しかし災害が起きれば、瞬時に声を“聞こえやすい声”に変換する防災ツールになる。「専門メーカーとしての技術」と「デザインの発想」が組み合わさって初めて実現した形だと思います。なお、現段階では販売予定はないようです。あくまで「未来の可能性を探るためのコンセプトモデル」であり、お酒を提供している飲食店向けのセミナーや無償の貸し出しが今後予定されています。
□最後に
今回の共同開発に参加し、改めて感じたのは「音」は単なるテクノロジーではなく、人と人、場所と人をつなぐための大切な媒介だということです。
私たちは業務用の拡声器メーカーとして、防災行政無線や緊急車両向けの製品を長年つくってきました。一方で、近年はレトロオーディオやガジェットといった一般のお客さま向けのものづくりも進めています。
これらは単に新しい市場に挑戦しているわけではなく、「音の専門メーカー」としての存在をもっと広く知っていただき、業務用にもつながる入口を増やすBtoCtoBの取り組みでもあります。
今回のプロジェクトでは、音響の専門家、クリエイティブ、デザイン、クラフトビールという異分野のプロフェッショナルが集まり、それぞれの視点で【音ができること】を探りました。その中で、当社も拡声技術という立場から新しい可能性に触れることができたのは、とても貴重な経験でした。
株式会社ノボル電機は、≪安心される専門メーカー≫を理念とし、今後も防災や公共空間、そして身近な暮らしの場で役立つ音のあり方を探り続けていきます。今回の取り組みを通じ、より多くの方に当社のものづくりを知っていただくきっかけになれば嬉しく思います。
プロジェクトの詳細については、こちらもご高覧ください。
株式会社ヤッホーブルーイングのプレスリリースはこちら
https://yohobrewing.com/news_release/news_release-6019/
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
株式会社ノボル電機
代表取締役社長 猪奥 元基