【NMP-102】金属製ボックススピーカーNMP-102のデザインについて

【NMP-102】金属製ボックススピーカーNMP-102のデザインについて

こんにちは。ノボル電機、猪奥です。
先日のコラムで、NMP-102について書かせていただきました。
「【NMP-102】金属製ボックススピーカーNMP-102が出来るまで」はこちら


その際、「次回はデザインについてとお伝えする」と書きましたので
今回は、デザインという切り口で
設計初期段階から
製品化までの流れをご紹介して行きます。

 

□コンセプトを受けて

まず、ディーリングシステム用アクティブスピーカーBS-491をベースとして、
「金属製ボックススピーカーNMP-102を開発する」
という方向性が決まったことを受け、
段ボールでモックを作りました。

【最初期につくった段ボールモック】


当初段階では、
アンプ2段分のサイズ感でスピーカーを作ろうと考えていましたが
NMP-102はスピーカーユニットの関係で
アンプ3段分の高さとなりました。

段ボールで安く早く現物を作って
設計者と企画者のイメージを
リアルな形で共有してきます。

そして次の段階は
3DCADでイメージを作ります。


【②CADでイメージに肉付きをしていく】

こちらの左側が金属製ボックススピーカーの
3DCAD構想。

寸法は、NMP-101に合わせるという
コンセプトが固まっていますので、
削り出しにより、モック(試作品)の作成を行いました。


【③削り出しES品】

3DCADと削り出し品ではほぼ同じ形状です。
この時点ではまだ
砂型鋳物による重厚な作りとして、
実際の重量も重たくする方針でした。

砂型鋳物の材料単価は高くなりますが、
金型代が発生せずに初期費用を抑えられるメリットがあり
BtoC事業への新規参入が
過大投資とならないようにするための判断でもありました。

前面パネルも鋳物で作るため、
前面部分に奥行きも生まれるので、
当初はスリット上で設計していました。



□デザイン重視

Bluetooth内蔵1WモノラルアンプNMP-101の設計は
電気製品ですので試験検証項目も多く、
実際に検証に時間もかかるため、
スピーカーの開発は削り出しでのES品(エンジニアリングサンプル1)を作って
いったんスピーカー設計は中断していました。

NMP-101の設計の進展に合わせて、
金属製ボックススピーカーNMP-102の設計を
再開したのですが、
ここで実際の見積を砂型鋳造業者に依頼すると、
当初考えていた業者の撤退・廃業という見込み違いもあり、
想定を大きく上回る初期投資(金型代)・材料費となってしまいました。

ここから如何にコンセプトに沿いながら
製品化を行うのかの試行錯誤ははじまり、
結果的に素材の金属を踏襲して、
板金にすることで何とか形にしました。

音質に関しては、
内部の音響設計による当初想定の音質を追求しましたが、
こちらはケガの功名で、
板金による共振がノスタルジックな音質となったことで、
ブランドコンセプト的には
砂型鋳物よりも音質面で良くなったと考えております。

前面パネル部についても、
設計者が複数案社内で検討していました。


【④社内設計の前面パネル検討資料】

甲乙つけがたく、デザイナーに相談したところ
第二案として考えていた波型スリット状で進めることとなり
モックを作成しました。


【⑤波型モック】

NMP-101の開発コラムでも書きましたが
専門家にデザインしてもらった前面パネルは
確かにかっこよくなったのですが
前面ネジがNGになったことで
内部機構の大改修が入ったりと
スピーカーも苦戦しましたが、何とか開発完了
生産へと移行できました。

 

【⑥完成したNMP-102】

当初から、二転三転もありましたが
数段垢ぬけた感じに仕上がったと自負しております。

音質に関しては、板金化の段落で
「ケガの功名」と書きましたが、
音質に関しては、趣味性の高いオーディオ分野において
かなり特徴的なノスタルジックな音質に仕上がったと自負しております。

こちらは是非一度実機でご聴取いただければ幸甚です。

販売ページはこちら
https://noborudenki.com/collections/mass-production
NMP-102のコンセプトについて書いたコラムはこちら


以上
株式会社ノボル電機
製作所事業担当 猪奥元基