【NMP-103】金属製ホーンスピーカーNMP-103の音質について

【NMP-103】金属製ホーンスピーカーNMP-103の音質について

こんにちは。ノボル電機、猪奥です。
年度末のバタバタで1週飛ばしてしまいました。
年度が明け、少しずつ平静を取り戻しつつあります。
本年度もノボル電機製作所のことをコツコツ発信していければ
と考えていますのでお付き合いください。

さて、令和6年度の一発目は、
過去二回にわたってお送りしているNMP-103シリーズの最終回です。

過去二回のコラムは下記リンクよりご覧いただけます。
「【NMP-103】金属製ホーンスピーカーNMP-103のベースとなった製品」はこちら
「【NMP-103】金属製ホーンスピーカーNMP-103のデザインについて」はこちら

最終回は音質についてという切り口で、
今回は設計初期段階から製品化までの流れをご紹介して行きます。

 

□デザインは決まっているが音質で苦戦

前回のコラムでも書きましたがNMP-103のデザインは、
細部の検討のみで比較的容易に
決定することができましが、
これは裏を返すと、
『外観が変形できない』という制約条件でもありました。

もちろん新規に金型を起こして投資を行えば、
外観の成約はなくなりますが、
新規参入のBtoC事業で初期投資が課題になり、
販売ノルマを過大に設定するか
販売価格を上げるかの二択が迫られます。

先行きが見通せない新規参入ですので、
まずは投資を抑えた開発を選択したため、
外観を変更できないという制約下で
音響設計がスタートしました。



□音響用スピーカーユニットの搭載

まず検討したのが、
ホームオーディオとして使ってもらうために、
筐体に入る音響用のスピーカーユニット(フルレンジスピーカー)の選定でした。

これは、音楽を聴いてもらうにはフルレンジでなければ、、、
という私の思い込みからの設計思想です。
また、駅のホームなどで採用されている形式ですが、
業務用でフルレンジスピーカーユニットと
ホーンスピーカーを組みあわせた
「ソフトホーン」という商品を販売していたこともあり、
同じ発想で部品選定を行いました。

部品として調達が可能であったことで
組み込んで視聴確認を行いましたが、
絶妙に「悪い音」というか
違和感を感じる仕上がりでした。

コストや調達難易度が見合ったスピーカーユニットで
感じた違和感を解消するために、
継続して他のスピーカーユニットの選定・検証を行いましたが
しっくりくる仕上がりにならず、苦戦が続きました。



□視聴確認での気付いたこと

そんな中、
試行錯誤を続けていた
アンプ・ボックススピーカーの開発の方が先行したため、
アンプ・ボックススピーカーの視聴確認の場に
「音響用スピーカーユニットでベターな音質のホーンスピーカー試作機A」と
「業務用のスピーカーユニット(振動板)で組み立てた業務用と同形式のホーンスピーカー試作機B」の
二つを持って行き、視聴会を行いました。

そこで言われた一言が
NMP-103の運命を決めることになります。


□ノボル電機製作所らしさとは

視聴いただいた社外の方から言われたのですが
「試作機Aは絶妙に悪い音。
試作機Bは聞いたことがないぐらい
独特の音なので試作機Bの方がデザインに合っている」
「世の中に色んな良いスピーカーがあり、
中途半端な音は記憶にも残らない」



目から鱗でした。


オーディオだから音響用スピーカユニットで無ければ
デザインは無骨なノボル電機製作所らしく
という相反するコンセプトを
追いかけていたと気付かしてもらいました。
ムリをせず自分たちの音を追及しようと
方向性が決まった瞬間でもあり、
ここから私たちにしか作れない
ホーンスピーカーらしい音を追求し始めました。

ホーンスピーカーの設計は専門分野です。
内部の音道設計によりチューニングを行うことで
ノスタルジックで独特な音質にするのは、
試作を重ねる必要はありましたが
我々の専門分野のため、
集中して取り組むことが出来ました。


当初考えた「オーディオとして優秀か否か」は
音響用の世間一般を意識しましたが、
ホーンスピーカーの設計は音響用としてけっして優秀ではないかもしれませんが
結果として唯一無二なスピーカーに仕上がったと考えています。

独特であり、
ノスタルジックな当社のスタックアンプNMP-103を是非一度ご聴取ください。

販売ページはこちら
https://noborudenki.com/collections/mass-production

以上
株式会社ノボル電機
製作所事業担当 猪奥元基